一寸庵のブログ

茶道宗徧流について書いてます

茶道教室、再開致します。

はてなブログに移行後、初めての投稿になります。約15年の年月を経て茶道教室を再開致します。場所は東京から離れ、鎌倉の月光庵という貸し茶室とのご縁を頂きました。http://gekko-ann.jp/当分は月2回木曜日に教室を開きます。時間は10:00〜17:00の間と…

宗旦四天王という称号について。

当流を紹介するにあたり手っ取り早く説明するのに使われる称号に表題の「宗旦四天王」という呼称がある。 流祖山田宗偏および藤村庸軒と杉木普斎は変動なく、もう一人を三宅亡羊か久須美疎安のどちらかにするのが通例であると思う。 四天王というからには意…

第十七 及臺子之事 その二。

○臺子を伝授するは、其の点前熟し、其の人品の善悪を見るべし。意の異なる人は、貌も異なり。直ぐき人は、貌も直ぐしと云えり。点茶の貌直ぐなれば、自然に心にようべし。然る則りは、極意は心気の執行専要なり。豈業のみにあらざる哉。茶道心を得るは、忠恕…

利休居士之一枚起請の文。

写真は流祖の高弟、三河吉田の三高足の一人倚松軒帰誉の利休居士之一枚起請の写しです。 その下に流祖像が描かれてる画賛の賛の部分です。 意訳は以下の通り 「唐土我朝にもろもろの知者の沙汰申さるる観念乃茶の湯にもあらず。また学文をし天ねんの心をさと…

幕末、明治期の各派の状況 その九。

これで父と娘の了解成り、父は即刻水月師を訪問し、今日まで時習軒を等閑にせしを詫び、自分が後見となり娘は有難く時習軒を拝受する旨を答えました。水月師はこれでいつ何ん時死んでも時習軒の相続人は細田伊登と云う立派な茶人が継で呉れ、自分としては歴…

幕末、明治期の各派の状況 その八。

大変ご無沙汰しております。 とある方よりご要望があり、続きを書かせて戴きます。 これは昭和三○年六月二五日に刊行された時習軒会報(時習 十四号)に掲載されたもので、 「八世宗衛 時習軒継承のこと」という表題がついている。 早速娘伊登に申し渡すと「…

幕末、明治期の各派の状況 その七。

偖当日は早朝心身を清め、父親に伴はれ脇坂邸へ上がりました。 当日の服装、髪の結方等は祖母から聞きましたが、少年時代の私や武曽師も男子の事とて餘り興味もなく、総て失念してしまいましたが当日の模様で記憶している事を綴りますれば、脇坂様では両殿下…

幕末、明治期の各派の状況 その六。

話は前に戻り、脇坂様の献茶に半東が必要という。 時の宮内府の達しで、半東は宗徧流中の皆伝者で少女に限ると云う事で、宗徧流広しと雖も少女で皆伝はおろか奥伝さえなく、八方捜した結果八世は十七才で幸にも少女であり、奥伝を許されていましたので(二号…

幕末、明治期の各派の状況 その五。

四ヶ月ぶりの更新です。 家元より貴重な資料のコピーを頂戴しましたので、転載して私見も述べていきたいと思います。 これは昭和二八年一月二十日に刊行された時習軒会報(時習 五号)に掲載されたもので、 「脇坂安斐が明治天皇へ献茶の際 八世宗衛が半使を…

幕末、明治期の各派の状況 その四。

では、この明治中期以降の当流の活動を関口家の視点から覗いてみたい。 その前に、この当時から現代に至るまでの各派共通の問題点があるのでここで述べて置きたい。 これも前述の参考文献である「空のなごり」から抜粋、要約する。 この文献の著者は、宗徧血…

幕末、明治期の各派の状況 その三。

前回の投稿にて安斐侯に譲られた「力囗斎」の板額について、実は養父の安宅侯に既に時習軒七世吉田宗賀没後に水月尼より譲られていたという新事実が、以前より参考にしている廣田吉崇氏の最新の研究ノートに記載されていたので訂正し、また安斐侯については…

幕末、明治期の各派の状況 その二。

前述の廣田氏の著書の一項「貴紳の茶の湯」は、東久世通禧卿を中心に描かれていて当時の茶の湯の状況も垣間見えてとても面白い。 通禧卿は明治政府の高官として、様々な官職を担う中で千家との接点も何度かあったのにも関わらず茶の湯に興味を示さなかったが…

幕末、明治期の各派の状況 その一。

とても久しぶりの投稿です。 当流に限らず、幕末明治の混迷は大名家の扶持を離れた茶家にとっては辛く厳しいものであったと聞き及ぶ。 大まかには以前、当ブログでも掲載しているので、そちらを参照して貰いたいが今回はその各派の詳細について書いていきた…

盆立の事 陸安集別冊 その二十三

第八 茶盛の事 一、棗、盆に載する事なし。盆点は、名物の陶ばかりなり。 一、袋の緒締の事、長緒は、用いず。 一、服紗絹の事、茶入・盆・茶杓、共に、真に畳むべし。 第十 茶杓の事 一、盆立時は、必ず象牙又は、珠光を用うべし。盆立は、古法なる故に、器…

盆立の事 陸安集別冊 その二十二

一、柄杓・蓋置を、棚・堂庫に、手水の間に出だし置く事、常の式に同じ。極老人たらば、建水も出だす。老人にても、飾るにあらざれば、襖を立てべし。 柄杓、蓋置を棚や堂庫に飾って置く事は、本来略式の扱いである。極老人ともなれば、出入りを厭うので建水…

陸安集 別項 軸前、軸脇、軸先について

以前より懸案であった軸前、軸脇、軸先について、流儀の大先輩にご教授賜り、詳細が分かりましたのでご報告致します。 理解出来ますと、今まで記載してきました陸安集の内容に訂正を加えなければならず、毎回ご覧になられている方々には大変ご迷惑をお掛け致…

盆立の事 陸安集別冊 その二十一

『要録の部』 第三 座席の段々同床の事 一、茶盛を置く時は、最も盆に載せ、客以前より軸先の前へ引き出だし、隅の真中に置くべし。茶盛の恰好に因りて、其の置き所の見合い、肝要なり。客、中立ちして、手水の間に水壺の前に、置合すなり。是は、名物か或い…

盆立の事 陸安集別冊 その二十

第三 床の事の部に出でたる主方の一 一、茶入置くときは、尤も、盆に載せ、軸先の前より、四五寸向こうへ寄せ、壁の方よりも、其の寸法程に置くなり。壁の方の遠近は、茶入の大小によるべし。盆立は、別書にあり。壁の方の遠近は、又、盆の大小にもよるべし…

盆立の事 陸安集別冊 その十九

第六 茶入盆形の事 一、四方盆・簣盆・丸盆・菱盆、右の形を用う。色は朱塗・黒塗・内赤なり。松の木盆というあり。木地を拭い、うるしにする。形は四方と簣と二色なり。若狭盆というもあり。内赤外青漆なり。形は簣なり。此の二品、名物にはあらねども、数…

盆立の事 陸安集別冊 その十八

一、茶入・床に直すに、是、床にかけたるも置くも、花入をば入るべし。此の故に、主、初めより心得あり。名物盆点の時、置花入ならば、花を入れ水をつぐとき、十分に水を注がざるがよし。 一、花入取り込む時、茶巾の雑巾を持ち出で、花入を右にて持ち、底に…

盆立の事 陸安集別冊 その十七

一、客方より床へ直すに、究りたる時は、先ず茶入の表を何方ぞと、主へ尋ぬべし。表見知りたりとも、此の時宜あるべし。尤も、主の服紗かり用ゆべし。盆・茶入のふきよう前のごとし。惣じて、懐中の(服紗)つかうこと好まず。古、常に懐中する事なし。 客が…

盆立の事 陸安集別冊 その十六

一、床へ揚げたる茶入、客帰る迄、其の儘に置くなり。主客時宜によるべし。 恕曰く、亭主同輩の時は、大切の品、御仕舞あれと云いて、主にても揚げたる、客中にてもおろし戻してよし。主受け取りて茶入左、盆右に持ち入る。貴人亭主のときは、其の儘置きても…

盆立の事 陸安集別冊 その十五

第五 茶入床へ揚げようの事 一、盆・茶入の拭きよう前の如くなり。拭き終り盆に載せ、床際真中へ引き寄する。さて、我が身、軸先へ寄り床へろく(直)に向かい、両手にて我が脇にある茶入を、盆の左右の縁を持ち、床の上三分へ一の真中、前の畳の縁より一寸…

盆立の事 陸安集別冊 その十四

一、名物茶入等は、随分大切に取り扱うべし。両肘ともに畳に付きて、見るべし。常の茶入にても蓋など取り落とし、残りたる茶などこぼさざるようにすべし。末流にて、名物の茶入、又は、棗等、服紗にのせて見物するよし。古法これ無き事なり。其の儘にて、手…

盆立の事 陸安集別冊 その十三

一、服紗の事、盆立にては、初め腰にはさみ出で、点前になりては懐中すると覚えべし。仕舞に、茶碗に茶杓かけて巳後は、腰にはさみて宜し。此の通りせざれば、作前あしし。 一、客、茶入を見物の事、名物と知れたれば、座の真中に置き、一同に手をつきながら…

盆立の事 陸安集別冊 その十二

一、次ぎに客より、盆も望むなり。前の如く拭い、出だす所は図の如し。茶入の袋も望むならば、是も図の如く出だすべし。 一、名物の時は、茶入と盆と二品ばかり望む。茶入見仕舞て後に、袋・茶杓望む。袋は、茶入に添いたる品なれば、此の時望む。茶杓は、茶…

盆立の事 陸安集別冊 その十一

一、此の時客より、茶入所望あり。其の時茶入を拭く事、前の如くして、茶入を出だす所は、図にあり。 一、茶入・盆共に、両手にて膝前に引き寄せ、客の方へ向かい居て、服紗真に畳み、前の如く茶入拭い、茶入の蓋を取り、茶を点つるときのごとく、盆の鏡前縁…

盆立の事 陸安集別冊 その十

新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。 一、茶入を、前のごとく諸手にて取り、蓋を常の如く取りて、盆の前の縁の真中に、かがみよりもたせかけ置く。其の手にて直ぐに、茶杓を取り、茶を入れ則、碗の上に置く事常の如…

盆立の事 陸安集別冊 その九

一、ここにて客へ、膝御直しあるべきとの、一礼有るべし。挨拶次第に、我もとくと居すわり、茶碗を左手にて取り、右にて常の如く、膝の前に置く。建水を茶碗の跡へ直すなり。懐の服紗絹を取り出だし、脇にてほこりを払い、真にたたみ茶杓をふき、盆の勝手の…

盆立の事 陸安集別冊 その八

一、建水、勝手口の際外にあるなり。堂庫にあるときは、其の内前勝手の方、前隅にあるなり。それを取り出すか、又、勝手にあるを、居ながら向きて取り出だし、左手にて茶碗の跡の方に仮に置く。さて、柄杓、蓋置、棚にありとも、栓にかけありとも、右の手に…