一、茶に行きて、他へ行きたる時分の善悪等、咄すべからず。或門人、宗徧の茶に行きて、去る頃、外へ行きたるに、朱のむさき膳椀出だしたり、とてそしりければ、宗徧勝手にて、是を聞きて、数寄屋へ出で、我等事は朱椀ならでは持たず候。承り候えば、朱は御…

一、茶主、功者なれば、約束なくとも客中、心安き者あれば頼みて、押しかけ行きてくるしからず。其の時は、参着の案内云い入る時に、誰と申す仁かねて懇望に付き、押しかけ参りたる段、云い入るべし。尤も、座敷にても挨拶、其の通り有るべし。又、前以って…

一、狭き所なれば、二人立つ事あしく、但し、座する所、一間ならば、正客、床際へ詰めて居て宜し。四畳半、三畳敷、其の外広座敷にて、一間半もあらば、上座をあけて下座の方に、三人共寄りて着座。二客、一客、猶更此の心得第一なり。三人共に、ならび居る…

一、正客床前へ行き、両手をつき、懸物を見る。それにて、見えざる時は其の後、立ちて見てよし。其の文句高く読む事あるべからず。前に記す意なり。扨て、炉前へ行き、釜、又は、棚の置合を見るべし。堂庫ある座敷にて、むさと、戸を明くべからず。内に飾り…

一、座入の事、惣じてよくよく考えざれば、騒がしきものなり。上座は正客に随いて定むべし。他の流れの者と、客中組み合いたる時、当流か様、末流は非議など心得たる時は、かえりて失礼にも出来るものなり。自分正客たらば、心得たる通りにすべし。 現在でも…