一寸庵のブログ

茶道宗徧流について書いてます

2008-01-01から1年間の記事一覧

第六 膳出る事 便蒙ニ 六左 (便蒙客方 ニ) その一

一、炭置き仕廻い、諸道具勝手へ入れ、亭主出で、膳出すべき哉と伺うなり。御勝手次第と挨拶すべし。扨て、座中たばこ盆等、片付け置くべし。座席せまくば、勝手口近き所へ寄せ置くべし。主、取り入るなり。是等、末座の所作なり。 一、主客の高下によらず、…

第一 菓子の茶の湯の事 便蒙四 二右 (茶道便蒙抄 四) その五

一、吸物、酒出ださば、炉の時は、其の以前に炭を直すべし。風炉の時は、酒済み、炭をすべし。菓子ばかりならば、炭後に菓子を出だすべし。初めに書きたる如く、菓子ばかりの時は、炭を直さずにも、点ずるなり。初座入に水壺を出ださず、客、手水に立たざる…

第一 菓子の茶の湯の事 便蒙四 二右 (茶道便蒙抄 四) その四

一、座中置合せは、客前より水壺と茶入を、置合すべし。惣じて、中立、手水の間の置合せにかわらざるものと知るべし。是は、前に書きたる通り、菓子ばかりの客、老人か、又は、畳にてよくよく手水に立たせまじと、思う時の事なり。尤も、此の時は、炭は茶前…

第一 菓子の茶の湯の事 便蒙四 二右 (茶道便蒙抄 四) その三

一、炉の内、客の来る時分を考え、沢山に炭を置くべし。風炉も同前なり。是は、菓子の茶にかぎらず下火、沢山に入るべし。当代は、炭仕よき為か、下火少しばかり入るるあり。浅間にして悪しし。当流に嫌うなり。 菓子の茶の湯に限らず、当流では下火を沢山入…

第一 菓子の茶の湯の事 便蒙四 二右 (茶道便蒙抄 四) そのニ

一、床の内、懸物をかけ、花をも先ず入れたるがよし、というは、菓子ばかりにて、外の品出でざる事なり。さりながら、客ぶり丁寧にする時は花入、水壺飾り付けありとも、手水に立つべし。主客の時宜によるべし。吸物、酒さかな出だして、菓子を出だす心得の…

第一 菓子の茶の湯の事 便蒙四 二右 (茶道便蒙抄 四) その一

一、朝飯後、夕飯後の物なり。朝飯後の約束ならば、辰の刻巳後に、案内乞うべし。夕飯後ならば、未中刻に案内乞うべし。是は、近所心安き簾中など、云い合わせ、約束する事なり。故に前後の礼にも及ばず。或は、同門弟稽古等にする事なり。 菓子の茶の湯は、…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左 (便蒙客方 ニ) その十

一、濃茶の跡に、直ぐに薄茶を呑む事は、古織より初むなり。故は、古織毎日隙無く、方々へ会いに参られ候うより、其の座はやく仕廻い立て候半との事なり。尤も、然るべし。当代は、主客、何も隙入もこれ無く、薄茶も呑まず立つなり。若し呑みても、亭主へ御…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左 (便蒙客方 ニ) その九

一、当代は濃茶の上に、直ぐに薄茶を呑み仕廻い。扨て、立炭と名付け、炭を所望す。是、心得ず。濃茶済み、道具等見仕廻い、たばこ盆出だし、干菓子など出だし、火を直し、湯のわきたる時分、薄茶点じ寛々に閑談をする事、第一の茶事との風味なるべし。立炭…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左 (便蒙客方 ニ) その八

一、茶碗見物の事、主、茶を呑み納めたる時、茶碗御見せ候えと、正客、請いて見廻すべし。下座にて呑み仕廻たり共、正客へ茶碗遣わすべし。夫より御覧候えと、正客云いたり共、正客へ遣わすべきなり。下座より見廻す事は、略儀なり。客中、至極心安き時の事…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左 (便蒙客方 ニ) その七

一、茶を呑むに、主共に四人ならば、一服を四つにわり、一つ分呑み廻わす。其の次は、三つに割り、一つ分呑み廻わすつもりにすべし。兎角、主人へも廻して由。主へ挨拶いずれも前に書きたる如し。主客ともにひたしく呑む事なれば、主人も廻す心得にすべし。…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左 (便蒙客方 ニ) その六

一、正客茶を呑む、右手拇の下のふくらみにて、呑み口をふきて、次へ手渡し遣わす。茶碗片手にて、四つの指を高台に付け、縁に拇をかけ持ちて、片手は畳に付けて、渡すべし。下座我が右の方ならば、茶碗を左に持ち、右の手を下につくなり。下座左の方ならば…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左  (便蒙客方 ニ) その五

一、主より服紗きぬ出でたらば、我が前へ引き寄せ置きて、熱く共、前に書きたるごとくするなれば、敷かざるがよし。服紗敷、出で有る事、末流にて初めたる事なり。釜の蓋服紗にて取る。当流にて、致さぬ事なり。次へ、茶碗を渡して後に、服紗を亭主へ戻すべ…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左  (便蒙客方 ニ) その四

一、末流の人、茶を呑むを見るに、碗中へ鼻息を入るるなどと云う心にてや。香を?軋ぐように、面を横に一口呑みては向き、又は、茶碗を異ように、振り廻し見苦敷し。其の上、極寒の時などは、ひねり廻わす内に、茶もさめて悪しし。次ぎに至り、茶つよくおどみ…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左  (便蒙客方 ニ) その三

一、主、茶碗を持ち、客の方へ向う時に、先ず主、呑まれるべき由、挨拶すべし。口切等の時分、亭主貴人などの時は、達て、すすめてもよろし。同輩の時は、主、出だしたらば其の意に任せ、請け取るべし。茶碗の形、前後を見、気を付けて請け取り、相客の前へ…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左  (便蒙客方 ニ) そのニ

一、主、勝手口の障子を明け、茶を点つべき哉、と伺う。然るべしの由、挨拶すべし。扨て、茶碗・建水・柄杓・蓋置等持ち出で着座いたし、蓋置、柄杓取り出だし、其の座に飾り付け、主、客へ向いて、ろくに御座候へと申すなり。正客よりも、主へ、とくと御敷…

第九 茶点る時の事 便蒙ニ 十左  (便蒙客方 ニ) その一

一、茶碗に呑口あり。点茶の時、主の右の脇の方を、呑み口と知るべし。主、茶を点じ客へ出だしたる時、客茶碗に向かい、客の右の方を呑口と知るべし。返す時、呑口亭主の右の方に遣わすべし。是にて茶碗の前、主の方に成りて戻るなり。主、請け取りてすすぎ…

第十二 雪隠の事 便蒙ニ 十五左  (便蒙客方 ニ)

一、雪隠は石を居へ砂を入るる。是、一つにて古へは用うといえ共、当代末流にて、是を小便所と号し、中廬地に別に、下腹雪隠とてかめを居え、踏板を敷く。是には、大便を調うという。二重の廬地などにては、尤もしかるべし。此の如く致し、くるしかるまじと…

第十二 客をむかいに出る事 便蒙一 十左  (便蒙主方 一)

一、当代は、待合と号し、別に構う事、古これなき事なり。客の来たり次第、一人ずつにても直に小座敷に入るる事なり。其の故に亭主、度々迎いに出ずる事をいとい、相客中、申し合わせ、揃い行きたるがよしというなり。客、一人にても来たらば、待合にまたす…

第三 床の事 便蒙一 四左  (便蒙主方 一)

一、掛物の事、朝の茶なれば、前夜より掛け、昼の客ならば、朝より掛けて、掛物のゆがみなきようにして、しっとりと落ち付かざれば、浅まにてわろし。 一、歌は、道歌の外、悪しし。恋歌は、猶更不用、と書きたるは、「潮干に見へぬ沖の石」などいうごとき歌…

第ニ 客により道具取合心持の事 便蒙一 四右  (便蒙主方 一)

一、道具にも限るべからず、万事料理に至るまでも、先方と差合なきようにする事なり。先方に菜汁出でたるに、又この方にても菜汁出だすごとき、是なり。或いは赤茶碗たるに、又、呼ぶ時分、赤茶碗出だす事、道具を競うようにて悪しし。侘びは釜一つ茶碗も一…

第一 客約束の事 便蒙一 四右  (便蒙主方 一)

一、貴人は参上伺うべし。御同伴も思召しを伺いて定むべし。前後の礼あるべし。扨て日限極まりて前礼に行くべし。其の節、食物の禁好伺いて帰るべし。好物を伺うべからず。承り帰りても有り合わざる時は悪しし。 一、同輩は手紙にても、連状にても、苦しから…

第八 自在の事 便蒙四 七右

一、鎖にて茶点てる事、若き老たるの構えなし。自在、五十才以上の人の物なり。若く共、目あしきか、手不自由なる者は、老人と同じ。くさりは、昇降するにあげかぎ、かけにくき物故に、手不自由にては仕がたく、其の断りを云いて、自在を用うべし。 釣釜の際…

第七 くさりの事  便蒙四 六左

一、鎖の時、火を直す事常の如く、五徳なくて仕よき物なり。(恕曰く、五徳なき時は、炭引き立たざれば見苦し。) 現在、釣釜は他流同様、卯月に限定して用いているが、以前は広間にては時季に関わらず使用され、故に広間の事を「鎖の間」と云った。 「茶道…

第七 唐物茶入茶碗に入れ置合する事  便蒙三 十一左 その三

一、当代は、名物にてなき唐物も、茶筅を置合せず。盆点の作法と云うなり。一切心得ず。茶入に茶筅をはずす事は、盆あれば置き所なき故に、是非無く、はずすなり。茶入に茶筅いむという事無し。名物にてなき物を、右の手にてあつかう事、然るべしか、同じく…

第七 唐物茶入茶碗に入れ置合する事  便蒙三 十一左 そのニ

一、手水の間に、常の如く水壺を置き、盆点の置合せのごとく、水壺の前に、茶入を茶碗に入れ置合するなり。茶巾をふくため水壺の蓋のはじきに持たせかけ、又、それに、茶筅を茶碗に入る如く持たせかけ置くなり。茶杓は釣棚か堂庫の棚に置くなり。格好有り。…

第七 唐物茶入茶碗に入れ置合する事  便蒙三 十一左 その一

一、盆に載せられざる程の唐物茶入は、客前より茶碗に入れ、棚か堂庫に、置合するなり。又、初めより置かず、手水の間に、水壺の前に置く事もあり。是は、茶入の優劣によらず、主の心次第なりともいえども、此の所、猶又、主の心次第にて、客などより来たる…

第七 腰懸の事 便蒙二 九右

一、亭主、座敷の置合等出来たらば、案内の為に潜り戸明けかけ候か、又、鉦、鑵鐘を打つべし。其の時、初めの座入の如く、一人ずつ手水をつかい入るなり。さて、寒天の時は、ぬり片口に、熱湯を半分入れ、石鉢の脇にあるべし。是を、蓋を取りて、手水鉢の水…

第十三 炉の火直す事 便蒙一 十二左より十五右 その二

一、懸る花入は金物・陶物・組物・瓢竹なり。竹に切様三色あり。一重伐・二重伐・尺八なり。此の三品ばかり書きたるは、此の三品、利翁時代より極りたる花入なり。二重に大小あり。輪なし・細尺八は宗旦より始る。細尺八の始り、是楽と号す。四寸廻り二節な…

第十六 花入様の事 便蒙一 一八左 その四

一、立花のごとく草木上下の差別なし。釘、細釘にて留め、ためる事なし。葉のある花を、葉を添えずに入るべからず。さりながら、葉なきとて外の似たる葉を仮用ゆべからず。六四の花、葉は悪しし。半に入ると心得べし。水仙は四葉生ずるなれば、苦しからず。…

第十六 花入様の事 便蒙一 一八左 その三

一、麦穂を入るる事、利休、花有り合わざる時に用いたるより始まる故に、大方は麦には菜花入れ添えざるなれども、徧翁は、あいしらいに入れ交えられたるなり。小笠原家臣渡辺氏、徧翁、投入花を写し置く巻物にて知るべし。花を入るる事、根のしまりを第一に…